14年間、ありがとう。はなちゃんへ ― 肥満細胞腫と闘い抜いた愛犬と、今、闘病を支えるあなたへ
2026年6月30日、私の愛犬・はなちゃん(はな子)が、家族みんなに見守られて旅立ちました。14歳でした。
この文章は、はなちゃんのために書きます。そして、かつての私と同じように、今まさに愛犬の闘病を支えているあなたに、少しでも寄り添えたらと思って書いています。
手のひらに乗る、小さな女の子だった
はなちゃんとの出会いは、14年前。
今も元気にしているゴン太と一緒に、小さなゲージに入って、二匹で私の目の前に現れました。はなちゃんはゴン太よりも一回り以上小さくて、手のひらに乗ってしまうくらいの、本当に小さな女の子でした。
お店の人には「どちらを選びますか」と聞かれました。でも私は、この兄妹を引き離すことなんて、どうしてもできませんでした。「二匹とも、もらって帰ります」――そう言って、私たちのにぎやかな生活が始まったのです。

ジャック・ラッセルテリアという犬種もあって、二匹は毎日、まるで戦争のように走り回りました。お庭の土を掘り、いろんな動物を追いかけて。本当に、にぎやかな毎日でした。
「年末まで持てばいい」と言われた日
その日々が一変したのは、2年前の8月のことです。
はなちゃんの右の後ろ足に、肥満細胞腫(ひまんさいぼうしゅ)というがんの一種が見つかりました。摘出手術をしたとき、ステージはすでに末期。先生からは「その年の年末まで持てばいいでしょう。残り4ヶ月ほどの命です」と告げられました。
あの言葉を、私は今でも忘れることができません。
それでもはなちゃんは、諦めませんでした。手術のあと抗がん剤の治療が始まり、辛い治療を、何度も何度も乗り越えていきました。一時は再発もしばらく抑えられて、「このまま穏やかに過ごせるかもしれない」と思える時期もありました。
それでも、最後まで頑張り続けた
けれど、去年の夏ごろから、また体のあちこちに小さな肥満細胞腫が現れ始めました。それがどんどん、どんどん大きくなっていって。
年が明けて今年の1月、一番大きな腫瘍をもう一度摘出しました。出血が止まらず、毎日血を流しながら歩くはなちゃんを見るのは、本当に辛かった。でも、その大きな腫瘍さえ取れば、ほかに目立つ腫瘍はなかったので、手術に踏み切りました。
一度手術をした右足からの再発だったため、なかなか皮膚がくっつかず、入院期間は2ヶ月にもなりました。皮膚を治すためにステロイドを止めていたので、その間に体中が肥満細胞腫に侵されていきました。
3月の末、ようやく自宅に帰ってきてからは、家でのんびり過ごすようになりました。日に日に腫瘍は大きくなり、体中がぼこぼこになって、毎日出血をして。それでもはなちゃんは、一生懸命、生きようとしていました。

だんだんと弱っていく姿を、私は毎日そばで感じていました。お水を飲むのも、おしっこに行くのも、数歩歩いては休んで、の繰り返し。きっと、しんどかったと思います。それでも――亡くなる前日の朝まで、はなちゃんはちゃんとごはんを食べていました。
みんなに見守られて
昨日の夜から、はなちゃんはごはんを食べなくなりました。そして今日の朝、5時50分ごろ。
私と、息子と、主人に見守られながら、そしてカナダにいる次女ともテレビ電話をつないで、みんなに見守られて、はなちゃんは静かに息を引き取りました。
最後の数時間は苦しんだけれど、本当に、本当によく頑張ったと思います。きっとはなちゃんは、みんなが揃うのを待っていてくれたのでしょう。誰にも迷惑をかけたくない、最後までそんな子でしたから。
控えめで、でも一番強かった「女帝」
この14年間、はなちゃんは3匹の中でも本当に控えめな子でした。
遠くの方から、じーっとみんなを見ているような子。何かを要望するわけでもなく、わがままを言うわけでもなく、誰にも迷惑を全くかけませんでした。
でも――おとなしいけれど、怒ると一番怖いんです。男の子のゴンタも、末っ子のナッツも、はなちゃんにだけは逆らえませんでした。
そんな性格だったからでしょうか。小さい頃から預けていた警察犬訓練所では、はなちゃんは新人の教育係でした。新しいワンちゃんが来ると、必ずはなちゃんが教育係になって、静かに見守りながら導いていたそうです。みんなから「女帝」と呼ばれていたと、今日、訓練所の先生が教えてくださいました。
それを聞いて、涙が止まりませんでした。はなちゃんらしいなって。静かに、凛として、みんなのことを見守っていた、私たちの女帝。
今、愛犬の闘病を支えているあなたへ
ここまで読んでくださって、ありがとうございます。
もしあなたが今、かつての私と同じように、愛犬の闘病を支えているのなら――どうか、ご自分を責めないでください。
「もっと早く気づいてあげられたら」「あの選択は正しかったのか」。闘病の日々の中で、何度もそう思うかもしれません。私もそうでした。毎日血を流しながら歩くはなちゃんを見て、手術をするべきか、しないべきか、何度も悩みました。
でも、今思うのです。正解なんて、きっとないのだと。あなたが愛犬のことを想って、悩んで、選んだその一つひとつが、すべて愛情そのものなのだと。
闘病の毎日は、本当に辛いです。弱っていく姿を見るのは、言葉にできないほど苦しい。でも、その時間は決して無駄ではありません。そばにいてあげること、声をかけてあげること、温かい手で撫でてあげること。それは、あなたの愛犬にちゃんと届いています。
そして、いつかお別れの日が来たとき。どうか、たくさん「ありがとう」を伝えてあげてください。あなたと過ごした日々が、その子にとっての宝物だったはずですから。
はなちゃんは、私に14年分の幸せをくれました。出会えて、本当によかった。
はなちゃん、よく頑張ったね。ありがとう。大好きだよ。
ゆっくり休んでね。